『江戸読本の研究』第四章 江戸読本の周辺

第二節 江戸読本享受史の一断面 −明治大正期の翻刻本について−
高 木  元 

江戸読本やその周辺ジャンルの諸本の書誌調査をしてみると、後印本が思いのほか息長く、そして大量に摺られていることに驚かされる。流布している大半の本が、幕末から明治初期にかけて刊行された粗悪本であることから、書誌調査の第一義的な目的は初板初印本の発見におかれてきた。これは〈作者の意図〉を直接反映しているのは初板初印本に限られるということが、多くの資料によって明らかにされてきたからである。

いま、読本の研究状況に即していえば、一部の著名な作品を除いて初板初印本の所在調査ですら不充分な状態である。だが書誌研究は、初板初印本探求へ向けた遡源的な方向へ進むだけでよいのであろうか。一般に原理的本質的な問題は始源に存すると見做す傾向が強く、研究意義をそこに見出すことが多い。この傾向は文学研究においても例外ではなく〈作者の意図〉を探る方向へ向かう研究が大部分である。しかし逆に享受者の側に視点を転じてみると、読者の大半が手にしたのが後印本であったことに気が付く。ならば後印本の流布相を究明することも必要だと思われるのである。とりわけ出板史や文化史の分野では、享受の実態がそのまま商品生産業者としての板元を規制したはずで、作者の手を離れて板元の意のままに扱われている作品のあり方を考えると、およそ看過し得る問題ではないのである。

すでに周知のことではあるが、問題点を整理するために当時の出板事情を振り返ってみる。ある程度の数が摺られた初板本の板木は、次の出板の資金繰りのために別の板元に売られることが多かった。これを手にした板元は、時にはそのまま摺ることもあるが、通常は時流に即して、序跋を差し替えたり挿絵を彫り直したりする。また単に改竄を加えるのみならず、別の本を装うために改題本に仕立て直したりもした。ひどい場合は、板本を板下作成に用いた覆刻(おつかぶせ)による再刻本を勝手に出板する板元すら存在したのである。これらの改竄改題再刻本までを視野に入れると、わずか一作品の調査ですら、容易に調べきれないことが多い。その上、厄介なことに、現存するこれらの後印本がまったく同じ本であることは、ごく稀なのである。表紙の違いや大きさの相違、口絵や挿絵の色板使用の程度、広告の有無や刊記の象嵌、摺った後の貼紙による訂正など、〈板〉の相違だけでなく〈印〉ごとに異本が作成されていたといっても過言ではないのである。だから、たとえ同一の板木で摺られたと思われる板本であっても、細かい吟味を抜きにしたまま、後印本の諸本調査を等閑に付してよいはずがない。大多数の読者が手にしたであろう後印本こそが、享受の諸相を明らかにするための有効な手掛りを提供する可能性があるからである。このように考えてみると、まったく同様の意味において、近代の活字翻刻本について調べておくのも意義なしとはしないであろう。

そこで国会図書館編『明治期刊行図書目録』に一瞥を加えてみると、予想以上に多くの読本や実録類が翻刻されていることに気が付く。これだけの量が出版されていたということは、すなわちそれだけの需要があったことを示しているのである。とりわけ明治十年代の半ばから二十年代にかけて出されたいわゆる〈ボール表紙本〉と呼ばれる本が目に付く▼1。これはボール紙を芯にして色摺りの絵入表紙を貼り付けたもので、四六判が多く、中には菊判や四六判半截の本も見受ける。変体仮名の活字を用いた総ルビに近い一段組み。紙質が悪く保存の悪い汚い本が多いため、一見廉価版という印象を持つが、よく見ると天地と小口にマーブルが施してあったり、見返しに色摺りで内容に即した意匠を加えたりしてあり、値段も1冊あたり50銭〜1圓と比較的高価な本であった。一方、中本型の和装活字本も並行して出されていたようで、こちらは錦絵風摺付表紙に色摺りの口絵を持ち、袋入りで売られていた。値段的には洋装本より少し安く、12銭〜75銭ほどであった。ただし、かなり派手な値引きをしていたらしく実質的な売り値となるとよくわからない。

これらの単行本以外にも数多くの翻刻が出されていた。新聞の付録、全集や叢書と、出版の形態はさまざまであるが、その全貌はとても容易には明らかにできないほどの広がりを持っていたものと推測される。しかし既刊の書目、たとえば『国書総目録』所収の「叢書目録」や国会図書館編『全集・叢書細目総覧(古典編)』などから洩れている全集叢書類は少なくない。まして単行本や雑誌は未整理のまま放置されている。これは当時の翻刻本が暇潰しの娯楽読み物として刊行されたものであるが故に、なかば消耗品として扱われ、すでに早くから散逸してしまっていたことに起因する。しかし出板史や受容史の観点から見れば貴重なもので、このような資料も早いうちに整理しておく必要があろう。

たとえば文庫本に関する鈴木徳三氏の調査▼2は、シリーズ化された小型本について多くの資料を蒐集しつつ不明であった出版の実態を示している。また榊原貴教編『近代日本黎明期文学書集成目録』は国会図書館所蔵本のマイクロフィルムの目録でありながら、「編者が調査した限りをすべて目録化」せんと▼3、マイクロフィルムに収録していない作品までをも含み、若干ではあるが翻刻本も掲載している。一方、青木稔弥氏は馬琴に関連する文献の「抄録、現代語訳、外国語訳をも採録対象」とする目録を編んでいる▼4。いずれにしても、このような仕事の積み重ねが、明治期以降の近世文学享受史を明らかにしていく基礎となるのは間違いない。

そこで、本節では従来の叢書目録類では拾えないか、もしくは記述が不充分であると思われるものを紹介しつつ、近代初期における江戸読本の享受史の一端を明らかにしたい。

「護寶奴記」 四六判(180×130粍)、明治15年5月〜16年5月、27冊、鶴聲社、定價1部8錢5厘。
これは5種の翻刻を、およそ5丁ずつ1冊にまとめて月に2〜3度発行し、揃ったところで1冊に製本するという形式の出版である。

護寶奴記ごぼうぬき
儒書じゆしよ親玉おやたま孔子こうし佛經ぶつきやう親玉おやたま釋迦しやか相場さうばたてれバ微塵みじん懸直かけねないところとぎりるべしまた戯作けさく山東京傳さんとうきやうてん曲亭馬琴きよくていばきん親玉おやたまとし滑稽こつけい道中記だうちうき十遍者一九じつぺんしやいつく親玉おやたま代盛だいもりすれバまたいつはりのない正札しやうふだいはれバその親玉株おやだまかぶあらはしたる書中しよちう親玉おやたましようせらるゝ佳作かさく一冊いつさつまとめたるものなれバ是又これまた面白おもしろい親玉おやたまにしてずるい趣向しゆかふ親玉おやたま濡手ぬれてあわ親玉おやたまとハおもふものから其版そのはん磨滅まめつ其本そのほん紙破かみやぶ蠧魚しみくひあらしほとんどたえんとするをなほすておかバをしむべきの親玉おやたま勿体もつたいないの親玉おやたま遠慮ゑんりよして因循いんじゆん親玉おやたまたらんよりむしろ急進たうせい親玉おやたまぞよきと思維しゆゐしさてこそ護寶奴記ごぼうぬきとハだいするなれ
    黄鳥頻りに囀り若葉
         やうやく窓に暗き時
松亭鶴仙識 

   凡例
一、巻中くわんちう毎題まいたい大尾たいびいたれバそのあとまた面白おもしろものいだ
一、もろ/\畫圖ぐわと序文じよぶんとうをのぞきしハあたへれんならんことをほつしてなり
一、なににても大尾たいびいたればわけ一部いちぶしよとなし所藏しよぞうとするの趣意しゆいなるゆゑはじめに序文じよぶんのせざるハそのものをはるのせつみぎ序文じよぶん口繪くちゑさしとうを附録ふろくとしていだ一部いちぶまとむるの便べんとなすなり

明治15年5月13日に出た第1号には、『稲妻表紙』『東海道膝栗毛』『慶安太平記』『三七全傳南柯夢』『六部集』が5丁ずつ仮綴され、同月25日に出された2号には、それぞれ前の続きの5丁が仮綴されていた。こうして、翌16年の5月15日に出た27号までに、前述した作品のほかに『旬殿實々記』『太平記』が完結に至ったのである。そこで、次のような広告が出た。

鶴聲社出版書目
三七全傳南柯夢     全部合本 金三十三錢
昔語稲妻表紙     全部合本 金三十三錢
太平記 巻之壹巻之二 合本 金貮拾五錢
東海道中膝栗毛 江戸ヨリ赤坂宿迄 合本 金貮拾五錢
慶安太平記 上巻中巻 合本 金貮十六錢
六部集放屁論   上下合本 金五錢
右之品々出來相成候ニ付御注文ヲ乞

つまり、多くの種類の作品を少しずつ出しながら、完結したときには別々の本に仕立てて出したのである。なお、28、29冊目として『実々記』巻2、3(明治15年9月27日)が出ているが、刊行日時に聊か不整合がある。

また、明治16〜17年にかけて松本で出された「娯覧喃誌」(吟天社)も同様の方式であった。


近頃ちかころふるふみあらた出版しゆつぱんせるもの數多かずおほうちにも稗史小説ひしせうせつごときはもつと夥多おびたゞしきやうおもハる時好じかうとうずる書肆ふみや機智はたらき當世たうせんにてはくやありなんなど理窟りくつつけるも手前味噌てまへみそ鹽辛しほからしといはんかおのこゝ伊達顯秘録だてげんひろく兒雷也物語じらいやものがたり娘節用むすめせつよう三書さんしよあはせて漸次しだい出板しゆつぱんほか看客方おとくいかた御目覺おめざめそなうち書肆ほんや金筐かねばここやさむとはかりぬそも本誌ほんしまえの三書を一綴いつしよにして出板しゆつぱんすれど各書いづれも紙面かみことにして編輯へんしういたしこと原書げんしよ序文じよぶん口繪くちゑとうまで時機をり出板しゆつぱんするゆゑ後日ごじついたさら改綴とぢなほすれバ めい/\べつ%\単行の全書よきほんとなりてお小兒衆こどもしゆうにハくすり御婦人方ごふじんがたのおなぐさたつ一冊いつさつ三錢五厘さんせんごりん廉價やすいもんだにみなさんがた一寸ちよつしかつ娯覧喃ごらんなんしと云爾しかいふ
校訂者識

 細切れの小説を何種類も読んで、はたして筋を追えるものなのかどうか疑問であるが、続きものの草双紙や新聞連載小説の感覚からすれば、さほど奇異なことでもなかったものと想像できる。

「今古雜録」 菊判(226×150粍)、錦絵風摺付表紙、和装、榮泉社、定價1冊20錢。

榮泉社の今古實録シリーズの続編として企画されたもので、『朝夷島巡記』初編上巻の巻末に次のようにある。

今古雜録きんこざつろく出版しゆつぱん廣告くわうこく
弊社へいしや出版しゆつぱん今古実録きんこじつろく追々おい/\盛大せいだいおもふすで太閤記たいかふき代記だいき盛衰記せいすゐきごと大部たいぶはじめ二百八十餘種よしゆ發兌はつだおよびことひとへ御贔負ごひいきゆゑ有難ありがたく奉存候ついてはこれまで有名いうめい稗史類さくほんるい諸方しよはうより出版しゆつぱん相成候へども兎角とかく半途なかばにて瓦解ぐわかい看客かんかく御不便ごふべんすくなからざるにより弊社へいしやおい出版しゆつぱんいたし候やう看客方おとくゐがたより屡々しば%\御勸おすゝめこれあり候につき今度このたび稗史小説はいしせうせつ作者さくしやにて有名いうめいなる京傳きやうでん馬琴ばきん種彦たねひこはじ其他そのた小説かきほんちうわけ面白おもしろきものをえら今古雜録だい實録じつろくならび期實きじつあやまらず一そう勉強べんきやう仕り看客様方おとくいさまがた御意ぎよいかなひ候やう美本びほん廉價ねやす發賣うりだし候間實録じつろく同様どうやう御高評ごかうひやうほどひとへ奉希上ねがひたてまつり
今古實録・今古雜録 出版所 三十間堀二丁目 榮泉社 

 この『朝夷嶋巡記』は、初編上下、2編上下の4冊で、明治18年10月刊。芳春が挿絵を描いている。これが「今古雜録」の最初だと思われるが、どれだけ出たのかわからない。管見に入ったのは『本朝酔菩提』(3冊、明治18年10月)と『俊傑神稲水滸傳』(2冊、明治18年12月)だけである。おそらく、この企画は「兎角半途にて瓦解し看客の御不便少からざる」という轍を踏んだものと思われる。

一方、「今古實録」の方は貸本屋の写本等を大量に翻刻したもので、後に実録全書などの底本として使われたらしい▼5。実録の活字翻刻本として重要な叢書である。

「古今小説名著集」 四六版(190×125粍)、紙装角背、1冊150頁内外、礫川出版會社、定價5銭。

古今小説名著集序
往昔の史を編するや大事は之を策に取り小事ハ之を簡牘に取る綱擧り目張りて而し褒貶勸懲亦自ら其間に行はる眞に備れりと謂べし中世以降邦家益々多事大史氏亦古に及ばざる者あり於是好事の徒輩出し或ハ筆を野乗に假りて潜徳を發し或ハ文を小説に託して陰慝を誅す其觀るべき者亦鮮からず此種の世を益する蓋し言を竢ざるなり一は童蒙婦女をして時代の先後當世の風俗を解し知らず識らず名教の樂地に逍遥することを得せしめ一は好學の士をして文章の沿革言語の變遷制度の推移等を察し以て之を正史に對照して細かに時事の得失斯道の隆汚を議することを得せしむ夫れ如是然らハ則ち之を編する者固より無かるべからず之を讀む者固より禁ずべからず本集ハ勉て古今の名著傑作を網羅して上は箕山、近松、出雲、其碩、西鶴、源内、可笑、鬼卵、鬼武、如皐、壽來、眸川子、天歩子、閑鵝齋、陸可彦、光定、信清、宗義、直方、九二軒、一瓢軒、其鳳、其笑、瑞笑、自笑、龜友、蛙井、錦文流、其樂齋、墨雀、木鶏、文臺、梅嶺、石別子、秋扇翁、由易、春樹、嘉茂、山住、久爲、元隣、馬呑、京傳、万象、三馬、金交、京山、一九、春水、種彦、靜盧、徳升、馬琴、蘭山、英泉、種員、金水、焉馬、洞蘿、峨眉、離醗、平魚、北壷游、鼻山人、六樹園、等諸先輩の作より下は現今の新著に至る迄細大漏すことなく號を追て纂録し再號大低二三部を全載して以て世俗の妄りに章を斷し回を拆し看客をして隔靴掻痒の感を懷かしめ強て次號を購讀せしむる等の手段を用ひざらんことを期せり然れとも長篇大作にして牒數限りある本集中に於て完結を見る能はず連々數號に渉るべき者〓に諸彦が寄贈を辱くせられたる珍書等は特に本集號外として以て之を發行す其編者微意の存する所及ひ價根の高低等の如きハ擧て諸彦の高評に付する耳
礫川出版會社 

第1帙24巻が全巻刊行されたことは、2帙第1巻の「古今小説名著集發行趣旨」(第1帙の序と同文)の裏に付けられた次の文章で判明する。

謹告
本書ハ明治廿四年二月第一巻を發刊引續き明治廿五年二月迄に廿四巻發行なし満一ヶ年を以て廢刊せし處愛讀諸君中御秘藏の珍書佳籍數多御投與在つて猶引續き發行候様御注告の向も不尠依て今般御所藏の便利を計り前一ヶ年分廿四巻を以て第一帙となし本年四月以降發行の分を第二帙として第一巻より續々發行可致候間倍舊御購讀あら舞ことを茲に謹告す
 但第一帙第壹巻より第廿四巻まで欠巻なく備置候間是又御購求願上候

また、巻末に「名著集第一帙目次」として所収本の題名が挙げられている。第19巻以降の部分については従来の叢書目録等に挙げられていない。

   ●第一巻
 復讐月氷奇縁      完  曲亭馬琴著
 小春治兵衛花廼島臺   完  松亭金水著
   ●第二巻
 碗久松山柳巷話説    完  曲亭馬琴著
 大津土産吃又平名畫助刀 完  式亭三馬著
 邂逅物語        完  天歩子著
 湘中八雄傳       完  北壷游著
   ●第三巻
 吾妻餘五郎雙蝶記    完  山東京傳著
 淺間ヶ嶽面影草紙    完  柳亭種彦著
   ●第四巻
 淺間ヶ嶽后編逢州執着譚 完  柳亭種彦著
 怪談雨夜の鐘      完  十返舎一九著
 夕霧書替文章      完  栗杖亭鬼卵著
   ●第五巻
 艶廓通覧        完  洞蘿山人著
 貞操美談園の花     完  爲永春水著
   ●第六巻
 恩愛二葉草       完  鼻山人著
 小夜の中山石言遺響   完  曲亭馬琴著
   ●第七巻
 飛弾匠物語       完  六樹園著
 邯鄲諸國物語近江の巻出羽の巻 完 柳亭種彦著
 五色の糸屑       完  峨眉山人著
   ●第八巻
 三十三間堂棟材奇傳柳の糸 完  小枝繁著
 花暦封じ文       完  朧月亭有人著
   ●第九巻
 新累解脱物語      完  曲亭馬琴著
 於三慕平宗像暦     完  ちぬ平魚著
   ●第十巻
 邯鄲諸國物語大和巻   完  柳亭種彦著
 胸算用(大晦日ハ一日千金) 完  井原西鶴著
   ●第十一巻
 昔語稲妻表紙      完  山東京傳著
 姫萬兩長者廼鉢木    完  曲亭馬琴著
   ●第十二巻
 糸櫻春蝶奇縁      完  曲亭馬琴著
   ●第十三巻
 邯鄲諸國物語播磨巻   完  柳亭種彦著
 記録曾我女黒船     完  江島屋其磧八文字屋自笑著
   ●第十四巻
 蹇廼復讐戀の宇喜身   完  松亭金水著
 玉箒木         完  義端著
   ●第十五巻
 邯鄲諸國物語伊勢の巻  完  笠亭仙果著
 邯鄲諸國物語遠江の巻  完  笠亭仙果著
 怪談登志男       完  慙雪舎素及子著
   ●第十六巻
 佐野常世物語      完  曲亭馬琴著
 小説浮牡丹全傳     完  山東京傳著
 痴漢三人傳       完  感和亭鬼武著
   ●第十七巻
 俊徳麻呂謡曲演義    完  振鷺亭著
 繪本連理の片袖     完  十返舎一九著
   ●第十八巻
 綟手摺昔木偶      完  柳亭種彦著
 異國奇談和莊兵衛    完  遊谷子著
   ●第十九巻
 常夏双紙        完  曲亭馬琴著
 櫻姫曙双紙       完  山東京傳著
   ●第二十巻
 忠臣水滸傳       完  山東京傳著
   ●第廿一巻
 大晦日曙草紙      完  山東京傳著
 化競丑満の鐘      完  曲亭馬琴著
   ●第廿二巻
 己惚鏡         完  式亭三馬著
 三七全傳楠柯夢     完  曲亭馬琴著
   ●第廿三巻
 孝子嫩物語       完  高井蘭山著
 春色淀の曙       完  松亭金水著
   ●第廿四巻
 菊の井草紙       完  爲永春水著
 會稽松の雪       完  峨洋堂著
  但シ壹冊定價金五錢全部廿四冊代價金壹圓但シ壹冊ニ付郵税金貮錢ヅヽ
                         發行所 礫川出版社

また「號外」として『新編金瓶梅』(明治24年7月)、『景清外傳松の操』(明治24年10月)とが確認できたが、『国書総目録』に載る『小説六佳撰』は管見に入らなかった。「號外」の出来に至る事情については、『新編金瓶梅』の冒頭に次のようにある。

古今小説 名著集號外發行の社告
分店は商業の繁昌より開き支線は銕道の延長より起る本集の進行は駸々乎として止まず頗る看客諸彦の御満足を希圖せしより竟に諸彦をして却て待遠だとの御歎聲を發せしむるに至る嗚嗟本集の月日に其繁昌を極むる推して知るべきなり今日の勢本集は定期外に其分店支線を設けて諸彦の厚眷に報答せざるべからざるの時運に遭遇せりと謂べし依て向後は長篇大作にして牒數限りある本集中に全載すること能はす聯々數回に渉る者及び諸彦が本社の豫告に負かず惠贈せられし珍籍等は特に號外として發行して以て聊か編者の寸誠を表する事とは爲しぬ
礫川出版會社謹白 

また、第2帙第1巻の刊記に「●名著集第二帙追次發行目次」として、以下の通りある。

●松染情史秋の七草●美濃古着八丈奇談●那智白糸●諸國回廊傾城畸人傳●安積沼●更科草紙●邯鄲諸國譚攝津巻●本朝酔菩提●南柯後記●旬殿實々記●うとう忠義傳●松風村雨物語●三日月お專●縁結月下菊●園の朝貌●手鞠唄三人娘●小栗外傳●阿古義物語●皿々郷談●松王物語●稚枝鳩●雲の妙間雨月夜●皿山奇談●裏見葛葉●物草太郎●あやめ草●末つむ花●戀の染分●玉川日記●高雄外傳●女水滸傳
右者追次發行可致此段豫廣告す但前記載の外目録は次巻を以てす

これらのうち、確認できたのは次に挙げた16点である▼6

第 一 巻 曲亭馬琴『頼豪阿闍梨恠鼠傳』、小枝繁『梅川忠兵衛この花双紙』、明治廿五年四月
第 二 巻 笠亭仙果『邯鄲諸国物語摂津巻』、狂訓舎楚満人『復讐高尾外傳』、明治廿五年四月
第 三 巻 四方歌垣『月宵鄙物語』、曲亭馬琴『孔子一代記』、明治廿五年五月
第 四 巻 東籬亭『壇風物語』、山東京傳『伽三味線』、菊廼舎東籬『近世日本蒙求』、明治廿五年六月
第 五 巻 為永春水『春色田家花』、明治廿五年 月
第 六 巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』一、明治廿五年 月
第 七 巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』二、明治廿五年 月
第 八 巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』三、明治廿五年 月
第 十 巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』五、明治廿五年 月
第十一巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』六、明治廿五年 月
第十二巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』七、明治廿五年 月
第十三巻 曲亭馬琴・高井蘭山『新編水滸畫傳』八、明治廿五年 月
第十四巻 曲亭馬琴・柳下亭種員・柳水亭種清『女郎花五色石臺』上編、明治廿五年十一月)
第十五巻 馬琴・種員・種清『女郎花五色石臺』下編、伊丹椿園『女水滸傳』、明治廿五年十二月)
第十八巻 曲亭馬琴『旬殿實々記』、明治廿六年七月)
第十九巻 曲亭馬琴『美濃旧衣八丈奇談』、明治廿六年七月)

したがって確証は得られないものの、第2期が巻数順に配本されたとすれば、少なくとも19巻までは刊行されていたと思われる。

「通俗小説文庫」 明治39年に東京の合名會社近事畫報社から刊行された月刊誌。
やや幅の狭い菊版(222×147粍)で、紙装角背、口絵に色摺りの木版画を2〜4図折り込み、本文は5号活字の2段組、挿絵はなく、1冊400頁内外で35銭。架蔵しているのは1月〜3月刊と5月刊との4冊である。おそらく4月刊は出たものと思われるが、6月以降の刊否は不明である。1月刊(第1巻)の冒頭に「序に代へて」として、次のようにある。

實話を敷衍して一種の讀本躰となしたるもの、徳川氏の中世以後頗る世に行はれ、草双紙の人情本と共に讀書社會を風靡せり、其經緯とする處、武勇談あり、軍記あり、烈女傳あり、貞節譚あり、或は騒動物、侠客傳、奇譚逸聞等、あらゆる面白き物語を羅織し、士人より婦女童幼に至る凡ての階級を通じて、何人にも讀み易からしめたるを以て、書肆の虎の巻となり、家庭の教へ草となり、百餘年の間一種の潜勢力を涵養し、赤本の名今も喧傳せらる、然れども是等の書冊多く散佚して、今容易く求むる能はず、空しく隔靴掻痒の歎を發せしむるを以て、弊社新たに通俗小説文庫の名の下に、赤本中の粹を抽き、精を萃め、月次號を逐ふて發售せんとす、全部十二巻、續編十二巻、毎號凡そ四百頁の大冊子なれども、極めて價格を低廉にし、刷出部數を多くし、普く一般に流布せしめん事を期す、今や我讀書社會は、淫靡なる戀愛小説に飽き、漸く新なる傾向を生ぜんとするに際し、本書の世に出づるは、是等の渇を慰する尠少なりとせず、希くは家庭間の讀物として本書を迎へられんことを。

すなわち、娯楽読物の供給を意図したものであることがわかる。とくに「今や我讀書社會は、淫靡なる戀愛小説に飽き、漸く新なる傾向を生ぜんとするに際し、本書の世に出づるは、是等の渇を慰する尠少なりとせず」という部分は、流行を促そうとする板元の意欲が示唆されていて興味深い。つぎに「實話を敷衍して一種の讀本躰となしたるもの」という所収予定書目を「總目次」として挙げている。

 通俗小説文庫總目次
 相馬大作忠勇傳 北雪美談    名譽長者鑑   後藤美勇傳   鎗の郷藏
 袈裟貞操譚   本多平八郎   黒田騒動    松前屋五郎兵衛 日蓮大士眞實傳
 關東十人男   名畫血達磨   山鹿甚五左衛門 楠廷尉秘鑑   合邦辻
 吉村兼房    宮本武勇傳   高田馬場    慶安太平記   三都勇劔傳
 孝子嫩物語   尼子十勇士   梁川武勇傳   村井長庵    彦左衛門一代記
 著聞奇集    天下茶屋    豊臣鎭西軍記  車丹波守    伊達顯秘録
 黄門仁徳録   鼠小僧     神明強勇傳   幡随長兵エ   奴小萬
 直助權兵衛   水呑村九助   古今名婦傳   將門記     傳教大師傳
 宇都宮騒動   草木軍談    弘法大師傳   岡山奇聞    栗原百助豪勇傳
 源空上人傳   義經勲功記   曾我物語    箱根靈驗記   桶間軍記
 豊川利生記   佐倉義民傳   大坂軍記    柳生旅日記   白木屋お熊
 自來也物語   川中島軍記   畔倉重四郎   笹野權三    雲井龍雄
 越後傳吉    柳荒美談    鎌倉顯晦録   傾城瀬川    元和三勇士
 護國女太平記  雲切仁左衛門  天保水滸傳   岩見武勇傳   松田お花
 稲生武勇傳   嘉永水滸傳   小栗外傳    加賀千代物語  越後騒動
 孝女傳     祐天上人傳   汗血千里駒   千代田刄傷   業平文治
 二島英勇傳   西國巡禮娘仇討

これを通覧して気が付くのは、いわゆる〈実録〉と呼ばれるジャンルで、主として写本で流布したものが多く含まれている点である。近世後期の上方で陸続と出された〈絵本読本〉もこれらの実録を扱ったものが多かった。また、次の凡例からは厳密さを期そうとする意気が読み取れるが、現在の学問水準から見れば不充分なものであるのはやむを得ない。

凡 例
改竄 本書の編纂に方りて、編者は成るべく原本の字句を改竄するを避けたり。然れ共是等の書は、重に冩本を以て轉輾し來りたるを以て、其間筆冩の誤りを生じ、往々字句滅裂し、殆ど自他を辨ぜさるが如きものは、或程度迄訂正したり。若し盡く之を添削する時は、全く改作となりて、當時の所謂筆僻なるものを滅却し、爲に淳樸の文體を傷つくるを畏るればなり。
句讀 原本は大概句讀なるものなけれど、近年句讀附の書册を讀み習ひたる人には、無點は讀過に便ならざるを以て、敢て之を添えたり。
編纂 本書は毎巻約四五册種を収むるを期すれど、往々浩澣に度るものは、一種一巻又は二巻に度る事あるべく、或は七八種を一巻に収むるの已むなきもあるべし。
珍書 本書編纂豫定として、別に掲ぐる總目次以外、珍書佳什を藏せらるゝ人士あらば希くは發行所に寄せられむ事を、編者は喜んで誌上に掲ぐべし。

出版事業が予定通り進行しない点は古今の差がなく、実際の刊行された本に所収されたのは次の通りであった。なお原作品についての私見を〔 〕で括って記しておいた。

第一巻
  名譽長者鑑〔実録、紀文大盡〕
  北雪美談金澤實記〔実録〕
  相馬大作忠勇傳〔実録〕
  後藤美勇傳〔実録〕
  村井長庵實記〔大岡政談〕
第二巻
  尼子十勇士傳〔読本、栗杖亭鬼卵『繪本更科草紙』文化八、文政四年、文栄堂刊〕
  袈裟御前貞操譚〔読本、小枝繁『文覺上人發心之記橋供養』文化十二年、角丸屋甚助刊〕
  自來也物語〔読本、感和亭鬼武『報仇奇談自來也説話』文化三、四年、中村藤六ほか刊〕
  車丹波守武勇傳〔実録〕
  槍の郷藏〔実録〕
第三巻
  嘉永水滸傳〔実録〕
  金紋藤巴箱崎文庫〔実録〕
  本多平八郎〔実録〕
第四巻(未見。同じ版元の「絵入史談」二、明治三十九年四月二十一日刊、広告による。)
  (大阪軍記)
  (小堀政談天人娘)
  (靈狐竒談小倉の色紙)
第五巻
  筆の面影岡山奇聞〔実録〕
  五大力後日物語〔読本、狂蝶子文麿『五大力後日物語』文化十一年、西宮彌兵衛刊〕
  東侠客河内山實傳〔実録〕
  姫萬両長者廼鉢木〔合巻、曲亭馬琴『姫萬両長者鉢木』文政九年、森屋治兵衛刊〕
  花廼志満臺〔人情本、四編十二冊、天保七〜九年刊、松亭金水〕
  仙石騒動實記〔実録〕

「錦葵文庫」 菊判半截(151×96粍)で、クロス装丸背、1冊200頁余、葵文會、吉川弘文館、正價卅銭。

第1輯1編、2編の2冊のみ架蔵。3編以降の刊否不詳。冒頭に次のように見える。

本會曩に葵文庫を刊行して徳川文學の精華を遠永に保全し併せて高尚なる趣味を家庭に普及せん事に努め今や既に數種の名篇珍籍を世に紹介せりされど同文庫は重に該書一冊以上の長篇を刊行するの計畫なるが故に比較的名作多き短篇物を脱遺するの憾あるを免れず茲に於てか別に葵文庫の姉妹本として錦葵文庫を刊行し多くの短篇中に於ける名作を網羅し價格を廉にし携帶を便にし其遺を拾ひ漏を補はんとす如斯して始て徳川文學研究者をして長短失ふ處なく而かも本會の主義目的を遺憾なく遂行し得べしと信ず乞ふらくは讀者之を諒とし葵文庫と同じく愛讀の榮を賜はらん事を
葵文會 

第一輯一編、牧野望東(解題)、明治四十四年二月十五日。
  化競丑満鐘〔曲亭馬琴、浄瑠璃読本、寛政十二年刊〕
  獸太平記〔木容堂、滑稽本、安永七年刊〕
第一輯二編、雨谷一菜庵(解題)、明治四十四年七月十日。
  江戸名所花暦〔岡山鳥、地誌、文政十年刊〕
  都の手ぶり〔石川雅望、狂文、文化六年刊〕

「日本文藝叢書」 菊判半截(157×90粍)、紙装丸背カバー、1冊300頁内外、東亜堂書房、20錢。

幸田露伴校訂のシリーズで、毎冊巻首の2頁ほどに解題が付されている。当初は200冊を計画したようであるが、これまたどれだけ出たのかがわからない。手許にある本のうち一番新しい刊記が付いている『續大岡政談』巻末「日本文芸叢書全二百巻新刊目録」には第50巻まで(既刊)となっており、「第五十一巻以下原稿整理中=續々刊行」とある。このシリーズは巻数順に刊行されたのではないようで、明治44年の3月ころから毎月数冊が刊行されていたと思われる。確認したものは下の〔 〕に発兌年月日を入れたが、数ヵ月後に再刷が確認できたものもある。なお『露伴全集』所収の序文より年月の判明したものは*を付した。

 第 一 巻 椿説弓張月 上編〔*明治四十四年二月〕
 第 二 巻 新訂通俗三國志 第一〔明治四十四年三月一日〕
 第 三 巻 椿説弓張月 中編
 第 四 巻 東海道中膝栗毛 前編〔明治四十四年四月三日〕
 第 五 巻 新訂太平記 第一〔*明治四十四年四月〕
 第 六 巻 新訂通俗三國志 第二〔明治四十四年四月二十五日〕
 第 七 巻 近松浄瑠璃佳作集 第二〔明治四十四年十一月五日〕
 第 八 巻 椿説弓張月(附昔語質屋倉) 下編〔*明治四十四年四月〕
 第 九 巻 新訂太平記 第二
 第 十 巻 東海道中膝栗毛(附金毘羅參詣膝栗毛) 後編
 第十一巻 新訂通俗三國志 第三
 第十二巻 西鶴佳作集 第一〔明治四十四年七月一日〕
 第十三巻 新訂太平記 第三
 第十四巻 開巻驚奇侠客傳 上編〔明治四十四年五月十五日〕
 第十五巻 其磧佳作集 合巻〔明治四十四年五月二十五日〕
 第十六巻 新訂通俗三國志 第四
 第十七巻 新訂太平記 第四
 第十八巻 一休諸國物語 全 〔*明治四十四年六月〕
 第十九巻 開巻驚奇侠客傳 中編
 第二十巻 浮世風呂 全 〔*明治四十四年〕
 第廿一巻 新訂通俗三國志 第五
 第廿二巻 開巻驚奇侠客傳 下編
 第廿三巻 浮世床 全 〔明治四十四年十一月五日〕
 第廿四巻 新訂太平記 第五
 第廿五巻 新訂通俗三國志 第六
 第廿六巻 大岡政談 全 〔*明治四十五年一月〕
 第廿七巻 新訂通俗三國志 第七
 第廿八巻 續大岡政談 全 〔明治四十五年二月十八日〕
 第廿九巻 邯鄲諸國物語 前編〔*明治四十四年七月〕
 第三十巻 邯鄲諸國物語 後編
 第卅一巻 八笑人 全
 第卅二巻 新訂通俗三國志(附録支那歴史地圖) 第七〔明治四十四年十月二十五日〕
 第卅三巻 馬琴佳作集 全
 第卅四巻 義士實傳いろは文庫 前編〔明治四十四年七月十五日〕
 第卅五巻 義士實傳いろは文庫 後編〔明治四十四年九月三十日〕
 第卅六巻 近松浄瑠璃佳作集 第二
 第卅七巻 平家物語 前編〔*明治四十四年七月〕
 第卅八巻 平家物語 後編〔明治四十四年七月十日〕
 第卅九巻 新訂水滸傳 第一〔明治四十四年八月二十五日〕
 第四十巻 西鶴佳作集 第二
 第四十一巻 枕草子・徒然草 合巻〔明治四十五年二月十五日〕
 第四十二巻 新訂水滸傳 第二
 第四十三巻 保元物語平治物語 合巻〔明治四十四年十一月五日〕
 第四十四巻 新訂水滸傳 第三
 第四十五巻 偐紫田舎源氏 第一〔*明治四十五年五月〕
 第四十六巻 偐紫田舎源氏 第二
 第四十七巻 偐紫田舎源氏 第三
 第四十八巻 偐紫田舎源氏 第四〔大正二年序〕
 第四十九巻 新訂水滸傳 第三
 第 五十 巻 雨月物語聴耳猿疳癖談 合巻〔明治四十四年八月二十五日〕

さて、このシリーズは再編成して文庫本風仮綴体裁に改めて大正から昭和初期にかけて出されている。発行所は「金星堂内日本文藝叢書刊行會」で「六十錢」となっている。手許の一番新しい『水滸傳』の奥付には以下の書目が出ている。〔 〕は所収本と『露伴全集』所収の序文から判明する年月。なお、明治44年9月に『海道記』と『回国雑記』にも序文を書いているが、別のシリーズであろうか。

第壹期刊行書目(十巻二十五冊)
 第一巻 椿説弓張月 全三冊
 第二巻 東海道中膝栗毛 全二冊
 第三巻 太平記 全五冊
 第四巻 平家物語 全二冊
 第五巻 偐紫田舎源氏 全四冊
 第六巻 開巻驚奇侠客伝 全三冊
 第七巻 大岡政談 全二冊
 第八巻 いろは文庫 全二冊
 第九巻 雨月物語 全一冊
 第十巻 一休諸國物語 全一冊
第貮期刊行書目(十三巻二十三冊)
 第十一巻 馬琴佳作集 全一冊〔雲妙間雨夜月・皿々郷談・俊寛僧都島物語*明治四十四年〕
 第十二巻 近松佳作集 全一冊
 第十三巻 其磧佳作集 全一冊
 第十四巻 枕草子・徒然草 全一冊
 第十五巻 保元物語・平治物語 全一冊
 第十六巻 七偏人 全一冊〔*明治四十五年六月〕
 第十七巻 八笑人 全一冊〔*明治四十四年〕
 第十八巻 漢楚軍談 全一冊〔*明治四十五年六月〕
 第十九巻 邯鄲諸國物語 全二冊
 第二十巻 通俗三國志 全八冊
 第二十一巻 水滸傳 全三冊〔新篇水滸畫傳〕
 第二十二巻 浮世床 全一冊
 第二十三巻 浮世風呂 全一冊
 第參期刊行準備中

現存を確認できたのは、『馬琴佳作集』(大正10年11月)、『開巻驚奇侠客伝』第1〜3巻(大正15年9月)、『一休諸國物語』(大正15年9月)、『雨月物語』(大正15年9月)、『偐紫田舎源氏』第4巻(大正15年9月)、『新訂水滸傳』第1〜3巻(昭和2年2月)であるが、『一休諸國物語』の巻末にある第貮期刊行書目は15巻26冊で、『西鶴佳作集』が入り、『枕』と『徒然』を分冊した若干異なった編成になっている。

また『開巻驚奇侠客傳』(大正15年9月發行、昭和4年11月再版發行、玉文社、貮圓)は、全3巻を一回り大きな1冊に合冊した本であり、三星文庫『馬琴傑作集』(大正13年4月、三星社出版部、貮圓)もハードカバーで出ている。

随分と長期間にわたって版元を移して刊行が続けられている様子なので、精確にはなお一層の調査が必要である。

「家庭繪本文庫」 菊判(227×155粍)、桜色地に菱形繋文様表紙、和装。木板多色摺り口絵1葉、1冊150頁内外、大正6年4月から配本開始、國書刊行會。

第一期として次の全二十四冊が計画されたようだ。

邯鄲諸國物語  全五冊
稗史水滸傳   全四冊
絵本太閤記   全七冊
殺生石後日怪談 全二冊
風俗金魚傳   全二冊
新編金瓶梅   全四冊

実際の配本順、刊記は次の通り。
 配本  書名 巻   刊  記
 1 邯鄲諸國物語1 大正六年四月十二日
 1 邯鄲諸國物語2     四月十二日
 2 稗史水滸傳1      五月十日
 2 稗史水滸傳2      五月十日
 3 邯鄲諸國物語3     六月十日
 3 繪本太閤記1      六月十日
 4 邯鄲諸國物語4     七月十日
 4 繪本太閤記2      七月十日
 5 稗史水滸傳3      八月十日
 5 繪本太閤記3      八月十日
 6 稗史水滸傳4      九月十日
 6 繪本太閤記4      九月十日
 7 殺生石後日恠談1    十月十日
 7 繪本太閤記5      十月十日
 8 繪本太閤記6     十一月十日
 8 繪本太閤記7     十一月十日
 9 邯鄲諸國物語5    十二月十日
 9 繪本太閤記8     十二月十日
 10 殺生石後日恠談2 大正七年一月十日
 10 繪本太閤記9      一月十日
 11 繪本太閤記10      二月十日
 11 繪本太閤記11      二月十日
 12 新編金瓶梅1      三月十日
 12 繪本太閤記12      三月十日
(不明)風俗金魚傳

『風俗金魚傳』と『新編金瓶梅』2巻以下3冊は未見ゆえ刊否不明。そのほかは架蔵本にて確認。ただし『繪本太閤記』は、全7編を12冊に分冊している(2 3 4 6 7編を各2冊に分ける)。この『繪本太閤記』は大正8年1月(帙に刊記存)に國民出版社から藍色表紙の和装本で再版されており、さらに出版事項は未詳ながら1冊に合本したものがある。また『邯鄲諸國物語』にも藍色表紙の國民出版社版がある。

なお、このシリーズは合巻が多いせいか、原本から挿絵を入れており参考になる。

「袖珍文庫」 四六判半截(126×95粍)、クロス装角背、1冊300頁内外、三教書院、25錢。

鈴木徳三氏の調査前述によれば、大正3年1月の78巻まで確認されているようだが、全部で何巻出たのかわからない。管見に入った80巻までを記しておく。

1 いろは文庫(上)[明治43]
2 いろは文庫(中)
3 武将感状記(全)
4 文章軌範(全)
5 平家物語(上)
6 俳諧七部集(全)
7 平家物語(中)
8 偐紫田舎源氏(1)
9 いろは文庫(下)
10 平家物語(下)
11 墨田川梅柳新書・昔語質屋庫(合)
12 偐紫田舎源氏(2)
13 萬葉集(上)
14 東海道膝栗毛(上)
15 俳風やなぎ樽(1)
16 古今集(全)
17 偐紫田舎源氏(3)
18 枕の草子(全)
19 東海道膝栗毛(下)
20 偐紫田舎源氏(4)
21 武經七書(全)
22 徒然草・それ/\草(全)
23 十三種百人一首(全)
24 聯珠詩格(全)
25 俳風やなぎ樽(2)
26 雨月物語・諸道聴耳世間猿(合)
27 蕪村七部集(全)
28 浮世風呂(全) [明治44]
29 繪本太閤記(1)
30 常山紀談(1)
31 釋迦八相倭文庫(1)
32 風俗文選(全)
33 梅ごよみ(全)[發禁]
34 假名文章娘節用・清談若緑(合)
35 世間子息気質・世間娘気質(合)
36 近世説美少年録(1)
37 繪本太閤記(2)
38 松の葉・松の落葉(合)
39 新編水滸畫傳(1)
40 西鶴物(1)
41 花暦八笑人(全)
42 釋迦八相倭文庫(2)
43 常山紀談(2)
44 南総里見八犬傳(1)
45 東遊記(全)
46 新編水滸畫傳(2)
47 源平盛衰記(1)
48 西遊記(全)
49 古事記(全)
50 萬葉集(中)
51 保元物語・平治物語(全)
52 常山紀談(3)
53 神皇正統記(全)
54 萬葉集(下)
55 日蓮大士眞實傳(全)
56 山家集(全)
57 新編水滸畫傳(3)
58 南総里見八犬傳(2)
59 釋迦八相倭文庫(3)
60 近世畸人傳(全)
61 近松心中物(全)
62 新編水滸畫傳(4)
63 繪本太閤記(3)[大正元年]
64 唐詩選・三體詩(合)
65 木曾道中膝栗毛(全)
66 俳人紀行文(全)
67 竹取・伊勢物語・方丈記・十六夜日記(合)
68 南総里見八犬傳(3)
69 南総里見八犬傳(4)
70 鳩翁道話(全)
71 繪本太閤記(4)[大正二年]
72 南総里見八犬傳(5)
73 新編水滸畫傳(5)
74 近世説美少年録(2)
75 南総里見八犬傳(6)
76 南総里見八犬傳(7)
77 南総里見八犬傳(8)
78 唐物語・住吉物語・濱松中納言物語[大正三年]
79 南総里見八犬傳(9)[大正二年九月]
80 梅暦(全)[大正三年七月]

割に早いペースで重印(版)されているようで、その際に巻数が換えられているものもある。いずれにしても、かなり流布したシリーズであると思われる。

「江戸軟派全集」 第1期20冊、菊判半截(155×110粍)、紙装ちり付洋装、1冊260頁内外、西村新解題、大正15年〜昭和3年、江戸軟派全集刊行會、非売品。

  1 閑情末摘花(人情本集)            大正十五年十一月二十日
  2 洒落本集第一(傾城買四十八手・柳巷訛言)        十二月二十五日
  3 梅之春(爲永春水集)              昭和二年一月二十五日
  4 娘太平記操早引(人情本集)               一月二十五日
  5 春色江戸紫・春色玉襷(人情本集)            二月二十八日
  6 春色傳家之花(爲永春水集)               二月二十八日
  7 通俗巫山夢・世中貧福論                 四月十日
  8 假名文章娘節用・艶競金化粧(人情本集)         四月十日
  9 洒落本集第二(辰巳婦言・船頭深話・船頭部屋・傾城買談客物語) 六月十日
 10 春色恵の花・春色梅暦(爲永春水集)           六月二十日
 11 清談若紫(人情本集)                  六月二十日
 12 毬唄三人娘(人情本集)                 六月二十日
 13 好色一代男・好色一代女(井原西鶴集)          七月二十五日
 14 人情廓の鴬・仇競今様櫛(人情本集)           七月二十五日
 15 春色辰巳園(爲永春水集)                九月二十五日
 16 いろは仮名四谷怪談・於染久松色読販(鶴屋南北集)    九月二十五日
 17 洒落本集第三(娼妓絹〓・錦之裏・仕懸文庫・繁千話・志羅川夜船・夜半の茶漬)十月三十一日
 18 花筐(人情本集)                    十月三十一日
 19 随筆雑文集(吉原大全・俳諧通言・容顔美艶考)      十二月二十八日
 20 春告鳥(爲永春水集)                  十二月三十日

「江戸軟派全集」 第2期8冊、菊判半截(159×110粍)、和装袋綴(袋入)、1冊60丁内外、昭和3年、江戸軟派全集刊行會、非売品。

 1 駅路風俗廻しまくら・客衆一華表(洒落本集第壹) 昭和三年五月 七日 (翻刻)
 2 敵討身代利名號(草双紙集第壹)             五月二十日 (影印翻刻)
 3 傾城買二筋道・商内神(洒落本集第貮)          六月十五日 (翻刻)
 4 昔語丹前風呂(草双紙集第貮)              六月二十日 (影印翻刻)
 5 好色五人女(伊原西鶴集)                六月二十日 (翻刻伏字)
 6 賣色安本丹                      七月二十日 (翻刻)
 7 お夏清十郎 風流伽三味線 上(草双紙集第參)      八月二十日 (影印翻刻)
 8 お夏清十郎 風流伽三味線 下(草双紙集第四)      八月二十日 (影印翻刻)

このうち第2期の草双紙集(第1〜4)は、『草双紙選集(第1巻)(洋装1冊、昭和3年3月5日、桃林房)として少し先に出されている。編輯發行兼印刷者・中川初伊も、發行所の場所も同一である▼7

このほか叢書としては扱えないが同時期に同一の版元からまとまった出版が見られるので、手許にある本を挙げておこう。

「ふたりかむろ」 四六判(190×129粍)、クロス装角背、江戸文學研究會、大正5年6月、向陵社出版部、非賣品。所収書について私見により〔 〕に補記した。

娘評判記(あづまの花軸)〔洒落本、明和刊、道楽散人〕
侠太平記向鉢巻〔黄表紙、寛政十一年刊、式亭三馬〕
婦足〓〔洒落本、享和二年序、成三楼主人、『傾城買婦足禿』〕
戊戌夢もの語〔随筆、天保十年成、高野長英〕
鹿の巻筆〔咄本、(元禄五年跋)、鹿野武左衛門〕
阿古義物語後編〔読本、文政九年刊、為永春水補〕
花紅葉都噺〔随筆、天明八年刊、千秋老人〕
海外新話〔歴史、嘉永二年刊、烏有生〕
異人恐怖傳〔抄訳、嘉永三年刊、檢夫爾著、志筑忠雄訳〕

「江戸八景」 四六判(190×129粍)、クロス装角背、江戸文學研究會、大正5年9月、向陵社出版部、非賣品。所収書について私見により〔 〕に記した。

当世虎之巻〔洒落本、安永七年刊、田螺金魚の改題改修本〕
閑情末摘花〔人情本、天保十〜十二年刊、松亭金水〕
伊達模様錦廼袿〔人情本、天保六〜八年刊、松亭金水〕
花街三所世帯〔浮世草子、貞享五年刊〕
眞實伊勢物語〔浮世草子、元禄三年刊〕
逸著聞集〔説話、寛文五年序、山岡俊明〕

「粋色風流男」 四六判(187×127粍)、和装、廣瀬夏樹校訂、大正7年8月、東京トモエ文庫、壹圓。
『粋色風流男』2篇は人情本、文政8序鼻山人作で、『風俗粋好傳』の改題本。

「風流江戸紫」 四六判(187×127粍)、和装、廣瀬夏樹校訂、大正8年1月、東京トモエ文庫、1圓50錢。

春色雪の梅〔合巻、柳亭種彦『忍笠時代蒔絵』、文政十一年刊〕
封じふみ廓の初買
風流江戸むらさき〔平賀源内『風流志道軒傳』、宝暦十三年刊〕

「花かたみ」 四六判(187×127粍)、和装、廣瀬夏樹校訂、大正8年3月、東京トモエ文庫、1圓50錢。
『花かたみ』は人情本、5編15冊、天保12年刊、松亭金水作。

「岩戸神楽」 四六判(187×127粍)、和装、廣瀬夏樹校訂、大正8年4月、東京トモエ文庫、1圓50錢。

風流岩戸神楽
根なし草女護の島風
里鶴風語〔洒落本、安永年間、風來山人〕
恵比良の梅〔洒落本、享和元年刊、十返舎一九〕

「小夜衣草〓」 四六判(187×127粍)、和装、廣瀬夏樹校訂、大正8年4月、東京トモエ文庫、1圓50錢。

小夜衣草紙〔式亭三馬『辰巳の園』の改題本〕
十八大通百手枕〔田水金魚『箱まくら』、安永七年〕
亂れ櫻戀の出雲〔西澤一風『亂脛三本鎗』、享保三年〕
戀の花染〔為永春水〕
男女川草紙〔笑亭楼山人〕

「嵯峨の假寝」 四六判(188×131粍)、クロス装角背、廣瀬夏樹校訂、大正9年7月、昇文館、金貮圓五拾錢。
『雪廼耶麻嵯峨の假寝』は松亭金水作の人情本、7編21巻、刊年未詳。

「花曇朧夜草子」 四六判(188×131粍)、クロス装角背、廣瀬夏樹校訂、大正9年7月、昇文館、金貮圓。

花曇朧夜草紙〔合巻、六編廿四巻、安政四〜万延二年刊、二世為永春水〕
戀の闇篝火草紙(朧夜草紙續篇)
春色曙草紙(花曇朧夜草紙續篇)

「賣色安本丹」 四六判(192×130粍)、クロス装丸背、田村西男校訂、大正9年12月、名作人情文庫刊行會、非賣品。
文政12年序、十返舎一九作の前編に、二世為永春水作の後編を付し、さらに続編を松本春浪が付け足したもの。

「春暁八幡佳年」 四六判(188×133粍)、クロス装丸背、昭和7年8月、東京普及社、4圓50錢。
為永春水作の人情本、6編18巻、天保7〜9年刊。

このほかにも、明治20年代の幕末時代小説叢書、今古實傳(錦耕堂)、滑稽名作叢書(光村合資会社出版部)などは、ほんの僅かの部分しかわからないし、『女非人綴錦』『世間手代気質』『善光倭丹前』『高砂大島台』『歳徳五葉松』などの浮世草子類を集めた温古小説(明治25年、礫川出版)も全貌は不明である。明治40年代半ばの十錢文庫(大川屋)や、今古文學(鍾美堂)、大正期に入って実録を主として出した袖珍本の史談文庫(岡本偉業館)、昭和10年代のいてふ本(三教書院)なども、叢書全体の書目は完備していない。

この種の叢書類の白眉は帝國文庫(博文館)で、續帝國文庫を含めて大部100冊に及ぶ。さすがに細目は備わっているが、たとえば『校訂種彦傑作集』に収められる『天縁奇遇』は、文化9年刊の神屋蓬洲作の読本である。改竄後印の際に内題下に「柳亭種彦著作」と入木された本を吟味せずに底本にしたための錯誤であろう。つまり、所収書目を全面的に信頼することはできないのである。また、昭和版帝國文庫はすべて別の校訂者が手掛けたもので、単なる明治版の再版ではないが、やはり使用上問題はある。このほか、國民文庫、續國民文庫、有朋堂文庫、文芸叢書、繪入文庫、袖珍繪入文庫、袖珍名著文庫、繪本稗史小説、人情本刊行會叢書、近代日本文學大系、名著全集、評釋江戸文学叢書、近世實録全書、葵文庫、滑稽文學全集、女流文學全集などには一応細目が備わっているが、改題本などの書名で入れられているのも散見する。つまり、すでに叢書目録に掲載されているからといって、安心して使える状態でもないのである。

以上見てきたのは、叢書という性格からとくに江戸読本だけに限定できなかった。だが、むしろ結果的にはその方が、当時の享受の実態に即したものになったと思われる。つまり、実録、浮世草子、滑稽本、人情本、草双紙などの中に混って江戸読本が位置しているのであり、ことさらに江戸読本だけを取り出してみても、あまり意味がないのである。同時に、馬琴や京伝の作品ばかりでなく、マイナーな作家たちの作品が多く混っている点にも注意を要する。つまり、馬琴翁叢書のように整然とした編集意識に基づいたテキストは比較的少なく、種々雑多なジャンルの作品が蒐められている点に、享受者側の読書傾向を見て取れる。版元は時代の流行に敏感に対応しつつ出版をしていたはずだからである。

このような考えに至ったのは、当時盛んに出版された名家名文集の編纂意識に示唆を受けたからだが、これらは、近世近代という時代区分やジャンルや作者という枠を越えて新旧文学が享受されていたことを示していて、明治大正期の状況を顕著に反映しているのである。となると、近世小説の翻刻本とほぼ同時期に出ている明治期の草双紙についても無視できないはずで、これらの書目をも整備しつつ、広い視野から江戸読本の享受を考える必要があると思われる。




▼1 鈴木徳三「明治期における『ボール表紙本』の刊行」(「大妻女子大学紀要―文系―」24号、1992年)
▼2 鈴木徳三「明治期における文庫本考(1)―冨山房:袖珍名著文庫を中心に―(「大妻女子大学文学部紀要」11号、1979年)をはじめとする一連の仕事。
▼3 榊原貴教「あとがき」(『近代日本黎明期文学書集成目録』、ナダ書房、1990年)
▼4 青木稔弥「曲亭馬琴テキスト目録―明治篇―(『読本研究文献目録』、渓水社、1993年)
▼5 小二田誠二「「大岡仁政録」の謎、又は『近世実録全書』種本考」(「近世部会会報」9、日本文学協会近世部会、1988年)。藤沢毅「「古今実録」シリーズの出版をめぐって」(『明治開化期と文学』、臨川書店、1998年)
▼6 山本和明氏より、旧稿執筆時には未確認だった第1帙の第19巻〜第24巻と、第2帙の第1巻〜第4巻を御所蔵本により示された。また、巻5〜8と巻10〜13は早稲田大学蔵本のマイクロフィルム目録に拠る。
▼7 鈴木俊幸氏の教示による。


# 『江戸読本の研究 −十九世紀小説様式攷−』(ぺりかん社、1995)所収
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